🌹密会🌹
第7章 🌹October🌹
「ほんの味見をしたつもりだったが、お前には刺激が強かったか?」
息を整える私の耳元に彼の甘い声が響く。
玄関先、ほんの少しの愛撫でイかされそうになった事実が悔しく感じつつも、虚勢を張る気もなれなくて、コクリと首を縦に振った。
素直な私の態度に満足したのか、彼は奥のリビングルームへと進んで行く。
後に続いて彼の後ろから入った私は、その部屋の内装に圧倒され、目を大きく見開いてしまった。
SM器具が充実しているのは無論、今まで来たホテルの部屋とは比べ物にならない程、格段に部屋が広く、豪華なシャンデリアが吊るされている。
一部の壁は鏡張りされており、ベッド下が透明になっている為、下からライトアップされたキングサイズのベッドが異様な存在感を放っていた。
一人呆けていると既にそのベッドへ腰かけ、ネクタイを解いて待機していた彼の視線が私に注がれる。慌てて駆け寄ろうとしたが、仮装衣装の存在を思い出した私は、思い切って、「ここで少しだけ待っていて欲しい。」とお願いをする。
一瞬考え込む表情を彼は見せたが、すぐに取り繕った笑みを浮かべて「どうぞ。」と私に告げる。呆気なく了承を得られた事に何となく嫌な予感を募らせながら洗面所へと向かうと、無地の手提げ紙袋から衣装を取り出し、
慣れない手つきで何とか衣装を身に纏い、大人しく彼が待つリビングルームへと戻った。