🌹密会🌹
第8章 🌹December🌹
「いえ!!一緒に行きたいです!クリスマス。」
本命の彼女の代役という点においては気が進まないが、千載一遇のチャンスが舞い降りた事に変わりは無い。
半ば彼の言葉に後押しされる形ではあるものの、旅行の誘いに応じる姿勢を見せると、彼の拗ねた声が喜色の滲む柔らかいな声へと変わった。
「...なら良かった。当日は××空港で、12時半に合流出来るよう準備しておけ。楽しみにしている。」
そう言ってクスッと笑った上機嫌な彼は、電話を切った。
トントン拍子に決まってしまったクリスマス旅行がまだ現実のものとは思えず、彼との通話が終了しても夢見心地のようだった。
理由はどうであれ、身体を重ねるだけの逢瀬とは全く違う。
柄にも無く、はしゃぐのは駄目だと分かっていても、高鳴る鼓動を抑えきれず、湧き上がる愉悦に身も心も包まれてしまっていた。