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🌹密会🌹

第8章 🌹December🌹


夜も深まり静まり返った室内に響く、粘膜質な水音。
ゆっくりとした律動。
時折、全身に降ってくるキス。
軋む音の無いベッド。
「美月」と愛おしげに呼んでくる彼の声と
呼応するように喘ぐ掠れた私の嬌声

まるで映画のワンシーンのようなセックスは一途に愛されているようで好きだったけど、相手が黎一さんなら話は別だ。


「もっと...乱暴にして...いいから」


もう何度目になるか分からない私のお願いは、
「駄目だ。」と強く彼に制される。

かれこれ2時間近く彼と交わっているのに、まだ理性が焼き切れていない。
境界線が分からなくなるまで肉体が絡まる普段のセックスでは、考えられない事だった。

快楽だけを追求する馬鹿な雌猫は楽でいい。
この時ほど、そう強く思った事はなかった。


「お願い...気が狂いそう...だから...アッ...んっ....」


「ご期待に添えず申し訳無いが、今日は殊更優しく抱きたい気分なんだ。分かってくれ。」


「そんな事言わないで...好きに貪っていいから...ンァ」


黙れと言わんばかりに唇を塞がれた。
身体を労わるように触れてくる彼の長い指先と、的確に私のイイ所を刺激するピストン運動に身を捩る。
ジワジワと身体が熱って身体はキモチイのに脳裏を掠めるのは、黎一さんが惚れ込んだ女の事ばかり。



「愛している。」


そう耳元で甘く囁かれた言葉は極上のワインのように身体に染み込んでいくが、ヘドロのようにこびりついた嫉妬心まで洗い流してはくれなかった。


いつまで馬鹿な女のままで居られるのだろう。


真摯な瞳で私を見つめる彼のペニスを締めつけながら、そのタイムリミットが刻々と迫っている事を認めざるを得なかった。

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