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副業は魔法少女ッ!

第4章 想いの迷い子



「Y・S。そう、佐伯ゆづる。さっき父親が来て、東雲さんが追い返したわ」

「お父さんが?」

「ここの住所は遺留品から見付けたらしいの。給料を振り込んでる通帳が見付からないから、銀行名を教えろって。それより先にすることがあるでしょう、と言って、私も協力して帰ってもらった」


 聞けば、彼と交際していたひよりという少女も連絡がつかなくなったという。なつるが可能な限り彼女の居場所を探ったが、地上から、ゆづるとともに、その生気まで途絶えている。

 彼にとって、この世界はとるに足りなかったのだろう。ひよりが繋ぎ止めていたも同然だ。息子が命を絶ったのに、悲しむより先に、金の在り処を気にする父親。

 かつて生きたくて仕方のなかったゆいかは、地上の地獄など想像にも及ばなかった。







第4章 想いの迷い子──完──

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