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副業は魔法少女ッ!

第4章 想いの迷い子


「一色さん、は……?」

「好きって、恋愛に限定しないとダメ?」

「それは……」

「少なくともあの人よりは、なずなちゃんを大事にする。なずなちゃんの好きな人が他に出来たら、後腐れは残さない。なずなちゃんを心配しっぱなしなくらいなら、利用された方がまし。住むとこなくなるんだったら、それだって何とかするし」


 そうだ、いくら好きでも、なずなに関して生涯の責任まで持てない。

 ゆいかには明珠だけを選ぶ未来が遠からずあって、今どれだけ力説しても、彼女の方も首を縦には振れないだろう。


 なずなの誤解が解けるだけだ。



 話し合うべきことには何一つ触れないで、久し振りに暢気な話に花を咲かせた帰路を名残惜しんだあくる朝、地方新聞の片隅に、男子高校生の入水ニュースが報じられた。

 特筆すべき特徴もない公立高校の一生徒が、それもいじめとは無関係で、事件性もなくこの世を去った。

 こんな一件が世間の好奇心を引くだろうと思いつく記者は、まずいない。

 いかにも申し分程度に扱っただけの小さな記事に、ゆいかの目が留まったのは、死亡した少年が三年生で、ぴんとくるイニシャルだったからだ。

 明珠に話題を振るべきか、無関係を信じるか。

 昨日は本業の残業に打ち込んでいた彼女は、ゲームセンターの一件も、ゆいかがなずなと話したことも知らない。当然、ルシナメローゼで他に何か起きていても知る手段はなく、結局、ローカルニュースの実態は、夕方になって明らかになった。

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