
副業は魔法少女ッ!
第5章 きららかな表皮にくるまれた残酷
古びた一軒家を囲った庭は、そうした椿紗の人間性が顕著に現れていた。季節柄、華やかな色の花が咲かないのを前提にしても、一定以上の彩度を許さないと言わんばかりの草花は、時折、風が過ぎれば悲しげにそよぐ。
妙に手入れされた花壇があった。特別な何かが植えられている感じがないのは例外ないが、かつては純白だったと見られる石造りの内側は、きめ細かい土が平らに敷かれて、極小の光が明滅している。
夢から覚めなければいけない。
直感がなつるに訴えた。
胸のざわめきの正体に、なつるを導くようにして、風がその声を連れてきた。
「──……。…──て、……たわ」
「………。──…」
そこで夢は終わった。
ただの夢だと納得してしまえば良かったのに、逃げるように起き上がったなつるが確認したのはスマートフォンだ。予定の起床時間より、一時間早い。今なら本職には遅刻しないで、夢の真偽が確かめられる。
狭い寝台を降りて、まだ暗い部屋に明かりもつけず、感覚に頼って扉へ向かう。
