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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった



「俺の寿命、あいつに移ってないんですよね。やっぱり愛されてなかったんだ」

「…………」

「なずなが帰ってきたら、謝ります。許してくれなくていい、怨嗟に負けた俺の自業自得ですから。でも、一色さん達にも迷惑かけて……。なずな達を探しに行くの、手伝います。心当たりがあるんで」


 正午の陽光を受けたすぐるは、清々しい顔をしていた。明珠となつるを交互に見る彼の目は、文字通り憑き物の取れた真正な生気が漲っている。

 丸腰の人間をルシナメローゼに近付けるわけにはいかない。しかも、八神すぐるだ。

 だが、生来秀才な彼がどこまで東雲椿紗という人物を調べたか、いざという時にはなずなの盾になる覚悟を固めてまでいた彼と、夕方、明珠となつるは再度落ち合う約束を交わして、一旦、各々の生活に戻った。


 数時間振りの社長室に戻って、昼休みの時間が終わる少し前、秘書が社員の来室を知らせてきた。


 ゆいかと同じ部署のベテラン事務員、田中だ。

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