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副業は魔法少女ッ!

第7章 私だけが独りだった




 父親を駅まで見送ったあと、すぐるは明珠達に頭を下げた。


「有り難うございました。あの、お支払いは……」

「いらないわ。それより、何で怨嗟に気付いたの?」

「感覚です。姉ちゃんが魔法少女をしていたの、ガキの頃、気付いていたんで。あの事故以来、ルシナメローゼを調べました。東雲椿紗を警察に突き出せないかって。でも、なずなにかかった姉ちゃんの魔法は、俺が魔法少女に関わるのも妨げた。それ以来、なずなは姉ちゃんを忘れて、俺は姉ちゃんを亡くしたただの子供であり続けさせられた。なずなが指輪を盗られたからです。魔法が薄れて、俺はルシナメローゼのことまで思い出した」


 そこからは、ルシナメローゼの怨嗟が暴走した例と、自身の身に起きてきた事柄を照合しただけだったらしい。

 八神すぐるは、元々、両親に愛されていた。菫子を亡くしたあとも、葬儀が落ち着いてからしばらくは、感じやすい年頃の息子を心細がらせないよう、自身の悲しみを押し殺してまで、両親は手を焼いてくれたという。幼少期、姉の方が愛されていたというのも、怨嗟が彼に見せた偽の記憶だ。

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