
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
「迷わないで下さい。なつるさん、ゆいかさん。私は皆さんに感謝します。つい来てしまいましたけど、私は今の人生が楽しいです。仕事はやりがいあるし、こんなに友達がいたことも、初めてだと思います。来週は飲み会なので、中止になったら後悔してもしきれませんから、現実世界をどうか救って下さいね」
この女が例外ではなかった。
元を辿れば、ルシナメローゼが滅んだ直接的な原因は、巫女に祭り上げられた挙句、惨殺されて、出戻ってきて、今度は悪魔呼ばわりの末に惨殺された少女の恨みだ。魔法少女らは死者達の無念を封じただけで、むしろ仲間を安らかな眠りに還してくれたと言って、謝意を伝えてくる者もいた。
ルシナメローゼに未練のない元住人が、ここでは多くを占めていた。
「これが目的だったんですね。ここの人達の気持ちを訊くために……」
罪の意識は薄れていた。ルシナメローゼが消えても、かつてここにいた人々には、今の居場所があると知れた。
ゆいか達は、なずな達の待つ洞穴へ向かう。
椿紗は、少女との別れの時間をとれるだろうか。
ふと、ゆいかが思った時、なつるの沈痛な顔が横目に触れた。
「ゆいかちゃん。もう一つ、話がある。聞いてくれる?」
話の受け方次第では、椿紗の味方に付いても構わない。
なつるはゆいかに、そう前置きした。
