
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
* * * * * * *
八神菫子の魔法は、なずなを彼女の望みに繋ぎとめていた上に、すぐるを寿命の減少から守っていた可能性もある。ゆいかを変身させたのも、おそらく彼女だ。なずなとの再会を終えた彼女が、最後の意識を、ゆいかに託したのだろう。
明珠の光を現実世界に散布して、既存の不幸をゆいかの魔法で癒やす。そして、菫子の魔力で皮膜を覆えば、一時的に負の感情から解放された人々は、その状態に執着する。仕上げはなずなの防御の力だ。彼女の魔力の解放によって、この先、数年単位の災いがもたらされても、世界の滅亡は防がれる。
なつるの透視が見出したのは、そうした合わせ技だ。
ルシナメローゼの根源は、現実世界の負の感情だ。消せばこの世界も無に帰すのは当然で、ただし魔法少女の存在も消える。
夢にまで見た魔法少女になれたなずなは、納得した。
「魔法少女じゃなくても、菫子ちゃんは私のヒーローで、ヒロインでした。同じになろうとしたって、私は私。菫子ちゃんには、なれませんから」
一方で、拘束を解かれた椿紗だけは、いつまでも難色を示した。なつるの透視を弾いていた結界は、とっくに機能していない。椿紗は攻撃の姿勢をとらない。辺りの瘴気も薄れているところからして、件の少女の存在感も、もう彼女の把握も及んでいないかも知れない。
