
副業は魔法少女ッ!
第7章 私だけが独りだった
椿紗も分かっているはずだった。
彼女の、少女への愛は募るばかりだ。今のように、少女の存在感が薄れるほど、半ば強迫観念に駆られて、彼女はスピリットジュエリーを必要としてきたのだろう。
別れを認められない気持ちが、ゆいかには分かる。ゆいかとて明珠との別れを惜しんで、抗った。魔法少女になれば救われる。この一年、ルシナメローゼがなければなかったはずの時間を過ごせた。狡い手に縋ってでも、手放し難い愛だった。
「私だけは、彼女の味方でありたい。全世界に裏切られたあの子には私しかいないから」
「東雲さんには、これからの人生があります。魔法少女になって、東雲さんとも仲良く話せるようになって、私は楽しかったです。従業員としてではなく、友達になれたら良かったのにと、何度考えたことか……」
なつるの隣でなずなも頷いている。
この世界が閉ざされたら、椿紗は独りになる。ルシナメローゼの事務所も意義を失くして、彼女の人生は白紙だ。責任は取れるのか、と眉根を寄せる彼女に、なつるが笑った。
友達になって下さい、椿紗さん。
第7章 私だけが独りだった──完──
