
副業は魔法少女ッ!
第8章 正義の味方のいないご時世
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ゆいか達からグループLINEで報せを受けて、心の靄が一気に晴れた。
ただ、なずなは最近、身をもって椿紗の気持ちを理解しかけていた。大切な人を諦めた彼女の手前、手放しに歓喜出来なかった。しかしルシナメローゼの元オーナーは、かつて従業員だった魔法少女の無事を、率先して喜んだ。明珠に魔力が残っていたように、ゆいかも底をついてはいなかっただろうから、縮めた寿命も少しは戻っているだろうと付け足して。
「つまりゆいかさんの回復魔法も、残っていた可能性があるんですね。さっき私が、魔力みたいなのを感じたのも……」
「力を使いきってーなんて、感動的な展開は、二次元の専売特許だからね」
かくいうなつるも、昨日、なずな達の会食の場所を割り当てたのは、予知の力を使ったからだ。もとよりあの日、彼女だけ魔力を現実世界に放つ必要がなかった。
「教えて差し上げておくことは出来なかったんですか。それか、もっと早く一色さんに魔法を使ってもらっていたら……」
「なかったことになる、なんて。ただでさえ強キャラなのに。本人も固有魔法を自覚していなかったし、要領を掴めばコントロール出来る力じゃなかったんだと思う。私が視たのは今の状況。未来は、ちょっとしたことで変わるのよ。教えることで、魔法は発動しなかったかも知れない」
