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副業は魔法少女ッ!

第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世


 業務内容に始まって、給料や待遇、ルシナメローゼという魔法少女の雇用事務所の概要まで、ゆいか達はなつるの説明を聞いた。

 敵と呼ばれる者達の属する国の名称から、事務所名は取ったらしい。そのルシナメローゼの正規構成員は椿紗のみで、アルバイト従業員達には副業としての従事が推奨されている。

 尚、魔法少女にまつわるからくりは、主戦力であるなつるにも、まだ理解しきれていないという。


「希望なら、この副業は秘密厳守を約束する。だから二人とも、魔法少女にならない?」


 ゆいかにとって、定時で上がったあとの時間は、毎日、ただでさえ貴重だ。副業の予定を入れるとなると、輪をかけて明珠と過ごせる時間が減る。

 だが十分だ。なつるがゆいかに譲った時間は七十二時間。その三日間が経てば、また今日までのように僅かな時間を数えて怯える日々が始まる。始まりもしないかも知れない。


 残された命を繋ぎ留められるのであれば、悪魔にでも縋りたかった。なつるの話を信用出来るか、それはともかく、ゆいかには、魔法少女になる他に選択肢がない。







第1章 アルバイトで魔法少女になれるご時世──完──

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