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副業は魔法少女ッ!

第2章 魔法少女の力



 つと、ゆいかが観葉植物近くの壁時計を一瞥すると、午後七時を過ぎていた。


「あっ、ごめんなさい、そろそろ──…なずなちゃんは?」

「あ、大丈夫です。すぐるくん、今日はゼミの飲み会で……」

「そっか、……」

「ゆいかさんは、おデートですよね?お気を付けて」

「ああ、そうなの。なずなちゃんに預けてくれれば、直帰してくれても良かったのよ?」


 なずなに続いて椿紗まで気を遣い出したのを見て、ゆいかは却って申し訳なくなった。

 明珠とは七時半に会う約束だ。大通りにさえ出れば、タクシーがあるから間に合うだろう。


 一礼して、ゆいかが出入り口の扉を開くと、帰り支度を済ませたらしいなつるが腰を上げた。


「ゆいかちゃん、待ち合わせどこ?送って行こうか?車あるから、なずなちゃんも一緒に」


 思ってもみない申し出だった。だが、結局、持病のことも何一つ打ち明けられなかったゆいかは、今度は副業の件を明珠に話せないでいる。


「なずなちゃんを送ってあげていただけますか。大事な人に、あまり心配かけたくないので……」

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