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副業は魔法少女ッ!

第2章 魔法少女の力



「随分、執念深い怨嗟だったのね」

「分かるんですか」

「何となく。二人で行ってもらって良かったわ。封じるの、大変だったでしょう」


 白濁の石が椿紗のデスクに収まりきるまで目を凝らしても、ゆいかには、彼女ほどそれを見極められない。


 それよりゆいかは、自身の肉体的変化に感動している。

 こうも快適な日々は、二週間前なら諦めていた。


「走っても首絞められても、蹴られても……全然、息切れもしないのが、すごいと思ってます!」


 それには一同、ゆいかに顔を向けて目を丸くした。だが、椿紗はもちろん、なつるやゆづるも、幼少期から病気がちだったゆいかの事情は知っている。彼女らからすれば既に常識であるところにいちいち感動したとしても、とりわけその目は温かい。


「本当に、ビックリしましたよぉ。無理されてたなら言ってくれれば良かったのに。今振り返ると、私、ゆいかさんが一番しんどかった時に、お化粧してもらったり泣き言言ったり……」


 なずなは未だに気を病んでいる。

 誰かに話しても仕方がなかった。なつるに寿命を分けてもらって、ゆいか自身もそれを稼ぐようになってからは、あの余命宣告も悪夢だった気さえしている。

 後にそのことを知ったなずなの方が、今はショックを引きずっているのではないか。

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