テキストサイズ

副業は魔法少女ッ!

第3章 ガラスの靴の正体は



 社長室に急な来客のあった昼休み、ゆいかは明園と松原の誘いを受けて、エントランス近くのラウンジを訪ねた。

 明珠に用意していた弁当と、中身は同じの自分用。それからカウンターで数点頼んで、腹ごしらえの準備が整うと、後輩達が始めたのは、恋愛中の女子社員らの揃う場での定番と言って良い話題だ。

 この土日は、明園も松原も在学中から交際している男と出かけていた。惚気や愚痴、本が一冊書けるのではないかというくらいには、二人とも話のネタが尽きないようだ。
 そもそも朝から弁当を作ろうという発想に頭が上がらない、と言いながら、ゆいかの弁当を頬張って、彼女達の方からも、厨房から運ばれてきたばかりのパスタやサンドイッチが小分けにして振る舞われていた。


「この会社、社内恋愛オープンですよね。彼のところは、黙認されても大っぴらにするなと釘を刺されるみたいです」

「浮気の心配は減るものの、私達がよそ見しそうになっちゃいますね。ちなみに明園さん、営業の村田さんとはどうなったの?新人歓迎会で、連絡先訊かれてなかった?」

「村田さんねぇ。イケメンで将来有望なやり手だけど、彼が許してくれそうにないよ。変に疑われたくもないし」

「LINEくらい良くない?明園さんの彼──…前藤さんだっけ?その人だって、仕事関係なら女と連絡取ってるでしょ」

「六人くらいと交換したって。ってことは、本当は十二人だと思ってる。先輩はどう思いますか?」

「え?」

「付き合ってる人がいて、他の人と連絡先の交換は、ありですか?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ