無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

仮面を手に入れたエルザとソレルは、一旦家に戻る。
ドアを開けた瞬間、エルザにシフォンが飛びついて来た。

「ただいま、シフォン」

抱き止めてエルザが言うと、シフォンは無言でしがみつく腕に力を込める。
安全とはいえ、一人きりだったのが辛かったのだろう。
仮面を手に入れるためとはいっても、一人にしてしまったことに、エルザは少々罪悪感を抱く。

「ささ、部屋に入ってください、お夕飯の支度をしますよ」

ソレルが言うと、シフォンは少し顔を上げて、ソレルを見る。

「……今夜は何？」

質問をしてきたシフォンの声に明るさは無いが、ソレルは笑顔を向けてエルザの背中を押した。
エルザと一緒に、シフォンも部屋へと押されていく。

「今夜はペペロンチーノとサラダですよー」

にこにこと笑いながらソレルは言って、部屋に二人を入れると、自分はさっさとキッチンへと向かう。
シフォンはエルザから離れ、キッチンで手を洗うソレルと、上着を脱いで椅子に座ろうとしているエルザを見た。

「二人とも、おかえり」

二人が帰ってきたことで、シフォンは安心したらしく、その表情は穏やかだった。

「ただいま」

エルザが返す。
それに続いてソレルも。

「はい、ただいま戻りました」

と返した。
シフォンは軽い足取りでキッチンに行くと「手伝わせて」と言った。

「では、冷蔵庫から野菜を出して、切ってください」
「はい」

ソレルに指示を出されたシフォンの様子は楽しそうに見えて、エルザは微笑む。
そして、料理に関しては役に立てないエルザは、テレビをつけてニュース番組を見始める。

日頃からニュース番組はよく見ていた。
時々、悪魔が関連しているであろう事件のニュースも流れるからだ。

特にこの日は気になるニュースもなく、エルザはほっとする。



そんな穏やかな時間を過ごし、三人は夕食を終えた。