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鼻血

第1章 思い出の神社

大人になったボクは、すっかりオタクになった。
推しのアイドルさんが、子供の頃に住んでいた街でライブをやるから、早目に現着して、久しぶりに子供の頃の街を歩いてみた。

街の様子はすっかり変わってしまったが、昔の面影も残っていて、数々の思い出たちがまるで万華鏡のように街に重なって輝いてボクの胸をキュンキュンさせた。

ライブ現場は、子供の頃によく行った神社の近くだから、久しぶりに神社にも行ってみた。
この神社の近くに小学生の頃に好きだった女子の家があったのだが、街の様子はすっかり変わっていて、その女子の家はもうないようだ。
あったとしても、もう結婚とかしてここにはいないよなとも思う反面、もしかしたら偶然にその女子に逢えないかなと淡い期待もしてしまう。

この淡くキュンキュンとする苦しさは、まるで小学生の頃の自分に戻ったようでもある。

思えば、急遽イチオシになったアイドルさんは、どことなくその好きだった女子に似ているって、何となく気づいてはいたんだけど、好きな女子のタイプって子供の頃からブレないなと思うと笑ってしまう。

そんな淡くキュンキュンするセンチメンタルを誤魔化すために、「神社でジンジャー」とオヤジギャグを言ってジンジャーエールを飲んでみたら、ほろ苦かった。

この神社には小学生の頃はよく行っていたから色々な思い出がある。
夏祭りでは金魚すくいをやったりした。当時は100円だったフラッペ(かき氷)は美味しかったな。
女子の浴衣姿にはドキドキキュンキュンしていたっけ。

秋祭りは銀玉鉄砲で遊んだりしたのが楽しかった。秋祭りの時は最後の餅撒きで多盛り上がり。
子供が小学生の頃に、たまたま秋祭りの時に通りかかったので行ってみたら、まだ餅撒きはやっていた。
あれから10年以上経っているけど、まだ餅撒きやってるのかな?

大晦日の深夜には火渡りという、一年の厄を焼き払って良い新年を迎えるという行事がある。大体みんな寝ちゃうんだけど、起きてられたから行ってみたら、好きな女子に逢えたこともあったな。

普段からこの神社は遊び場になっていたのだが、隣接する公会堂とかは新しくなっているけど、神社や遊び場はほぼ昔のままであった。

そして、この神社で罰当たりなことをして、恐ろしい目に遭ったこともある。一歩間違っていればボクは死んでいただろう。

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