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ほしとたいようの診察室

第6章 回想、はじめまして


「ちっくんするより辛くなっただろ? 早めに言うんだよ」


頭を撫でると、少し笑った。


「うん……ゆうせんせ…えほんよんで……」


「ダメだ。今日は。元気になってから。のんちゃんがつらいと、絵本も読んであげられない。だから、具合悪かったら、早く言うんだよ」


笑ったと思ったら、ボロボロ泣き出すのんちゃん。いつもみたいにわんわん声が出ないのは、きっと喉が痛いからだろう。

そう思ったら、いたたまれなくなった。





「いいか? 痛いところや、つらいときは優先生に言うこと。これは優先生との約束だ。わかったか?」





小指を差し出すと、自分の小指を絡める代わりに、小さな手で俺の小指をギュッと握った。


「指切りげんまん。もう大丈夫。明日には少し良くなるから。ほら、もう寝ろ」


布団をかけ直してやって、やがて寝息が聞こえる頃に、病室を去った。




……

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