
ほしとたいようの診察室
第6章 回想、はじめまして
「そんで、 最後に行く子……」
優先生が苦笑いで言葉を詰まらせる。
「……星川のぞみちゃん、ですか?」
「予習済みときたか。なかなかやるな」
「なるべく、早く馴染みたくて。カルテとかには目を通してきました」
「どんな印象だった?」
「うーん、なかなか……元気というか。点滴の抜去や酸素マスクを外してしまうことが他の子より圧倒的に多いですし、身体拘束されていた時期もある。両親は忙しく、なかなか会えないことから、寂しさを抱えているのかな……と。そんなところでしょうか」
元気、と言い換えたが、問題児と言う方がしっくりくるか? という記録が散見された。
「……マイルドに言い換えたな」
優先生が、少し笑う。どうやら、俺が率直に思った事は優先生も思っていることらしい。
「じゃあ、実際に会いに行くか」
揚々と歩く優先生の後を追う。
これが、俺とのんちゃんの初めましての出会いだった。
