テキストサイズ

ほしとたいようの診察室

第2章 遠い記憶と健康診断

午後からは雨。


ぎりぎり引っかからずに帰れるかと思ったけれど……


採血で倒れて休憩していたら、降り始めていた。





大粒の雨が、瞬く間に地面を濡らしていく。
常備していた折りたたみ傘を、カバンから取り出した。



同じようにしていた何人もの人が、傘を差して雨の中に吸い込まれていく。





わたしもそれに続こうと思って、傘を差したときだった。





玄関の端っこ、困ったように顔をしかめたおばあさんが、空を見上げて立ち尽くしていた。




きっと、病院帰り。
傘を持たずにここへ来たのかもしれない。






止みそうにない雨を前に、ずっとここにとどまっているつもりなのだろうか……。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ