
ほしとたいようの診察室
第7章 回想、主治医の苦悩
「……ありがとう、のんちゃん。俺ものんちゃんのことがとても大好きだよ」
目を見て、しっかり伝えた。
5歳ののんちゃんが思う好きの形は、どんな形なんだろう。そんなことを想像しながら。
お父さんやお母さんに伝える、好きと一緒なんだろうか。
それとも、主治医として一緒に歩いた時間を指して、好きと伝えてくれているんだろうか。
それとも……お姫様としての、好きなんだろうか。
のんちゃんは、いつかこの気持ちを忘れるんだろうか……思い出す日は来るんだろうか。
たった数ヶ月でも、5歳ののんちゃんにとってこの半年は人生の10分の1。
「のんちゃんが、ここまでよくなって、本当に良かった。いっぱい頑張ってくれて、ありがとうね」
瞳をまっすぐに見つめ返してそう伝える。
のんちゃんは満足そうに頷いて、目を閉じると、ゆっくりと眠りに落ちた。
その健やかな寝顔に、心の中で語りかりかける。
……俺は、忘れないよ。
のんちゃんと成長したこの数ヶ月のことを。
そして、伝えてくれた言葉や一緒に頑張ってきたことを。
……
