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ほしとたいようの診察室

第7章 回想、主治医の苦悩





じーっと、こちらをしっかり見据えて、のんちゃんは言葉を重ねた。









「あのね、のんちゃん、ようたせんせいのこと、だいすきだから」









放たれた言葉は、矢のように胸に突き刺さる。
射るような視線と一緒に。

いつぞやの、吹田先生や蒼音くんの言葉を思い出していた。目の前にいるのは、ただの子どもではない。

……しっかり意思を持った、1人の人間なのである。

その実感が、胸の中を駆け抜けた。

こんなにまっすぐに伝えてくれている言葉に、適当に答えるような大人は……のんちゃんを傷つけるだろう。

子どもだとしてもはぐらかして向き合うことは許されない、そう感じた。


読み終わった絵本を閉じて、丁寧に枕元に片付けた。その間に、慎重に言葉を選ぶ。





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