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ほしとたいようの診察室

第9章 ひとときの外出



味がついたら片栗粉をまぶして、フライパンに油を温めていく。

そこに、衣をつけた鶏肉をゆっくりと落とした。

じゅわじゅわ、からからと油の中に浮かぶ音が心地よかった。



たちまち、良い匂いがキッチン中に広がっていく。
片面を揚げ終えてひっくり返す頃には、陽太先生から感嘆の声が上がっていた。


「おお〜、すごいね。のんちゃん」


嬉しそうに笑う陽太先生を見ていたら、わたしも自然と笑顔になる。


狐色にこんがり上がった唐揚げを、どんどんバットに引き揚げていく。
その作業を3回繰り返す頃には、山のような唐揚げが積み上がっていた。パーティーのような唐揚げの量に、陽太先生が呆れたように笑う。

でも、わたしはこの作業が大好きだった。

小さいあぶくが次から次へと油に浮かび、消えていく。気がつけば、衣をまとった鶏肉は唐揚げへと姿を変える。
それを見ていると全ての嫌なことを忘れられるような、そんな気がするのだ。



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