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ほしとたいようの診察室

第9章 ひとときの外出



「痛かったね……まだお水で冷やしてて」


「……すみません……」


陽太先生は言い置いてリビングへ行くと、どこから持って来たのか救急セット手にしていた。


「いつの間に……」


驚いて尋ねると、


「こんなこともあろうかと、いつも持ってるんだよ」


と、陽太先生は言った。


「こんなことは、ない方が良いと思ってたけど」




なんと、準備の良いことだろう。
キッチンで救急箱を広げる姿は、既にいつもの知ってる顔の陽太先生だった。


「まだ痛い?」


「……はい」


「長めに冷やそうね」


言いながら陽太先生が、軟膏とガーゼ、包帯を取り出したのを見て、いよいよ大事になったと気が引ける。


「……大丈夫ですから!」


言ってはみたものの、もう陽太先生は医師の目をしていた。
吸入をしたり聴診器を当てたりする、あの真剣な目である。

わたしの手を取ると、患部をじっと見る。鋭い視線が合わさって、火傷がひりひりと痛んだ。


「火傷は最初が大事だから」


言いながら、人差し指と中指に軟膏を塗る。


「……いっ……た」


「ごめんね。しばらくは痛むかも。保冷剤とかある? 冷やしながら様子見よう」


慣れた手つきでくるくると包帯を巻き上げると、保冷剤を握らせた。



……見事な怪我人の完成である。



「あーあ……ごめんなさい……」



落ち込みながら手を見つめていると、残りの唐揚げは陽太先生が揚げてくれるらしい。

陽太先生は菜箸を握ると、鶏肉の面倒を見始めた。




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