ほしとたいようの診察室
第9章 ひとときの外出
慌てて、口に手を当てた。
が、それではどうしようもなかった。
手放したフォークが、テーブルの上に踊る。
派手な金属音が鳴って、その音が鼓膜を支配した。
わたしから出た言葉も、かき消してくれたらいい。
そんなふうに思った。
しかし、口から出た言葉は戻らない。
空気を振るわせて伝わった言葉は、陽太先生の耳に届いていたのだろう。
陽太先生が、箸を落とした。
カーペットの上、音もなく箸が転がる様子が脳裏に焼きつく。
陽太先生の顔を見ることができない。
沈黙と静寂の中で、わたしの心臓の音が陽太先生に伝わってしまいそうだった。
トクトクと坂を転がり落ちるように速くなる鼓動を抑えることもできない。
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