ほしとたいようの診察室
第4章 心と身体
「逃がさないのには、理由があるよ。やっぱりどうしても病気を治してほしいんだと思うよ。ああ見えてね」
「そう……なのかなぁ……」
迷惑ばかりかけているのに……と、俯きかけたとき、陽太先生は言った。
「もちろん。俺も、のんちゃんに早く良くなってほしいって思ってる。先生たちだって、のんちゃんが一緒に働いているみんなだって、きっとそう思ってるよ」
大きな手が、わたしの頭を撫でた。
ふっと一気に、心に張っていた糸が緩む。
「だから、迷惑かけてもいいんだよ。のんちゃんはのんちゃんなりに、一生懸命やればいいよ」
……迷惑かけてもいいのかな……?
緩んだ心に、陽太先生の言葉が、ゆっくりと染み込んでいく。
「大丈夫」
その、『大丈夫』には、わたしを包む不思議な心地があった。
なんだか柔らかい気持ちに包まれながら、陽太先生と一緒にマンションまで歩いたのだった。