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戦場のミハイル

第4章 遊撃部隊、北に進む

その時、部屋のドアがノックされる


ビクトリヤはとっさにミハイルのベッドへ飛び込み頭からシーツをかぶって身を潜めた


「はい? ああサーシャ?」

外に立っていたのは索敵担当のアレクサンドラだった

「ごめんねミーシャ、もし良かったら今夜どうかなって……」


「ごめん、先約があるんだ、今度でいいかな?」


「そう…、じゃあ仕方ないね、またね」


ミハイルは手を振って扉を閉めた


「もういいですよ、“ヴィーカ”」


「わざとらしくヴィーカと呼ぶな!お前の女みたいじゃないかッ! それよりお前もお盛んだな
 まぁ、この世界の数少ないオトコだし、フリーセックスが公式に認められているカミエーターくんだしな!」


「下世話な言い方ですねぇ〜、ちなみにカミエーターはフリーセックスではなく子孫繁栄のための神職ですからお間違いなく」


「どうだかな? 案外わたし以外ここの小隊はすでに手を出された後なのかな?ミーシャくん?」


「ご安心下さい、オーリャにも手を出していませんから」


「その名前を出さんでもいい!
 だが、その言い方はもうここの部隊は丸め込まれてるみたいだな?」


「どうでしょうかね? ぼくのほうが利用されているパターンが多いですけどね」


「カミエーターもタイヘンだな」


「パパ・リムスキーを恨みたくもなりますよ
 過去に戻れるのなら、止めますね」


悪態をつくミハイル


それを見たビクトリヤは、〈こんな天使のような少年の姿をして……中身はひねくれた老人なのだな〉と思った


ベッドを取られたミハイルは壁の長椅子に横たわろうとする


「ミーシャ、何なら隣へどうぞ?
 私の寝相はそんなに悪くないと思うぞ?」


「……誘ってますか? ヴィーカ?
 ぼくに断る権利が無いことを知っていて」


「ふん? たまには若い男もいいかもな

 だが、老いた女の身体を見せるほど私は自虐的ではない、かまわんからこちらへ来い

 今の君にはわたしも抱かれたくはない」


怪訝そうなミハイルだったが、ゆっくり立ち上がるとビクトリヤの横に添い寝する


ビクトリヤは軽くミハイルの身体に腕をまわして、やさしく包み込んでやる…


「ミーシャ、君には女の肌は肉欲まみれのように映っているかもしれんが、女の肌にはセックス以外にもこのような使い方もあるのだよ」

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