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シャイニーストッキング

第3章 絡まるストッキング2 美冴

 1 退散

「じゃあ次、カラオケ行きましょう」
 いい感じに酔っている越前屋朋美さんがそう皆に声を掛けた。

「えっ、カラオケ、いいわね」
 すると意外にも佐々木ゆかり新部長がそう応えたのである。

「わぁ、佐々木部長ぉ、行きましょう」
 越前屋さんは喜び、遅れて合流した上野涼子さんの腕を掴んでいた。

「実はわたし…カラオケ行った事なくて…」
 ゆかり新部長は少し恥ずかしい顔をしてそう云ったのだ。

「ええっ、そうなんですかっ、じゃあ、絶対に行きましょう」
「うん、行きたい…」
 その呟きがなんとなく可愛いい。

「ごめんなさい、わたし少し調子悪くて…」
 次回は必ず行きますから…
 と、わたしはそう言って辞退した。

「ええー、残念ですぅ…」

 でも本当に調子が悪いのだ、いや、悪くなってしまっていた、自律神経が暴走をしかけてきて抑えが効かなくなってきているのである。
 もしもこの状態で一緒にカラオケなんて行ってテンションを上げてしまったら、何が起こるか、いや、何をしでかしてしまうか解らない恐れがあったのだ。
 さすがにこの状態を皆に告白する訳にもいかないし。
 ここは早々と退散する事にしたのである。

「じゃあまた明日です、お先に失礼します」
 そう告げてわたしは皆と別れる。

「さあ、健太、行くわよっ」
 その時後ろから、ゆかり部長のそんな声が聞こえてきていたのだが、わたしはサッとその場を離れていった。
 そして急ぎタクシーを拾い、自宅へと向かう。

「ふうぅ…」

 ズキ、ズキ、ズキ、ズキ…

 昂ぶりは全く治まる気配がなく逆にまだまだ増してきそうなのである。
 わたしは溜息を吐き、タクシーの後部座席に座って目を閉じた。

 ああ、ヤバい…
 
 ズキ、ズキ、ズキ、ズキ…

 目を閉じるとさっきの居酒屋での健太のあのフェチ的な目が、堀コタツでの出来事が、そして昂ぶりの最大の原因であるあの足裏マッサージの快感が、ぐるぐると脳裏に浮かんできていたのである。

 ああ、アイツ、健太のせいよ…
 あの健太のわたしを見る目、そして脚を、ストッキング脚を見てきたあのフェチ的な目のせいなのだ。
 だから健太に責任を取らせようと考え、自分の携帯電話番号をメモ用紙に書いてこっそりと手渡したのである。

『あっ、えっ、あ、蒼井さん、これって…』
 




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