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安田は、

「田中くん、今日も頑張ってたね！」

と話のネタを探るように、軽い口調で言った。

「安田さんもね！さすが、レギュラー定着してるから、落ち着いてるし、試合運びがうまいよね！」

と言うと、安田は、

「私は中学からやってるから、その辺はまーまーってところかな？私より、田中くんの方が凄いよ。今、男子の団体戦のレギュラーは、みんな中学からやってた人ばかりなのに、田中くんは、陸上からの転身でしょ！私、あの人達好きじゃないの！高校に入ってから卓球始めた人見下したり無視したりして！田中くんも今は実力がついたから、あの人達に認められているけど、１年生の時は見下されていたわよね！私、そういうの凄く嫌だったの！」

と言った。

「杉崎達は、高校へ入ったときからうまかったからね！練習も上級生と同じメニューだったし、しょうがないよ！実力あったから……。」

僕は、正直に自分の思っていることを言った。すると、安田は、

「でも、杉崎くん達中学からやってた男子は、最近伸び悩んでるみたいよ！顧問の井上先生が言ってた。あいつらは、要領よくやることを覚えて、隙をみてはサボる癖がついている。その反対に、真面目にやってきた田中は、たぶんこれからも伸びる！３年のインターハイの頃には、あいつらは、田中に勝てないよ！田中は、本当に伸びたよな！だって！」

続けて安田が言った。

「私、それ聞いたとき、自分のこと以上に嬉しかった！真面目に頑張ってきた田中くんが、顧問の先生に私達が思っている以上に認められてたんだなって！」

僕は、先生がそう言ってくれることは勿論嬉しかったが、僕が誉められたことを、そんなに喜んでくれる安田が、高嶺の花ではなく、すぐ近くにいてくれる存在なのかもしれないと思った。