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第4章 合宿


安田は、更に続けた!

「私はね!誰にでも親切で、真面目に頑張る人が好きなの!好きだから、ラケットを貸してもらってるの!出来るだけ、接点を持ちたいから……。でも、最近辛いの!そのラケット貸してくれる人が、女子にモテるから。他の女子と楽しそうに話してるの見ると、焼きもちやいて、その場にいるのが辛いの!だから、今日は、心に整理をつけたいと思って……。」

安田の声が小さくなった。声が震えて、少し涙くんでいる。

「田中くん!誰が好きなの?今日は、それが聞きたいの!私じゃなかったら諦める!もうラケットも借りない!そうしないと、毎日が辛いの!ごめん、突然こんなこと言って……。」

安田は、うつむいて涙を流していた。

僕は、その姿を見て自然に彼女を抱き寄せることが出来た。そして、自分の気持ちを言った。

「高校に入学した数日後、草取りの作業があったの覚えてる?僕は、その時に、同じ学年に凄い美人がいることに気が付いたんだ。でも、僕なんかが相手にしてもらえるような人じゃないと思った。そんな時、卓球部の説明会にその美人が現れ、一緒の部活になれるといいなって思ってたら、彼女も入部した。それからというもの、彼女に会うといつもどきどきしていて、ちょっとした事でも、会話があると嬉しかった。

でも、僕なんかに吊り合う人じゃないといつも思っていたから、自分からも話しかけられなかった。

その人は、美人で、男にもモテるし、僕なんかより良い男は沢山いるから、僕なんか相手にされないと思った。高嶺の花として眺めているだけでいいと思った。

でも、今、こうして高嶺の花だと思っていた、その美人が、手の届くところにいて、僕のことを見てくれていたんだと知った。」

僕は、彼女を抱く手に力を込めた。

「僕は、あなたが僕に気づく前からあなたのことが好きでした。安田さん、どうか付き合ってください!」

と言った。


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