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第6章 痴漢の説明

妹がタオルを持って戻って来た。

「4枚持って来たから、2枚を結んで鉄棒に引っ掛けて両端を結べば良いんじゃないかな?」

と言って、妹は、2枚のタオルを僕に渡し、自分も2枚のタオルを結び始めた。

妹は、手際よくタオルを結び輪を作って鉄棒に取り付けた。

「こんな感じかな?」

と言い、結んだタオルに捕まって、吊り革に捕まる乗客の格好をした。そして、モタモタしている僕を見て、

「もう〜!不器用なんだから…。貸して!」

と言って、僕に体を寄せると、タオルを鉄棒に引っ掛けて結ぶ動作をした。

妹の良い匂いがする。妹が体を寄せたせいで胸が肘に当る。

妹は、さっきは直ぐに結んだのに、今は手間取っているようだ。

「あれ?結びにくいな〜!」

妹は、結びかけて、またほどいてやり直している。その間つま先立ちをしたり、戻したりをしながら結んでいるため胸が僕の肘に上下に擦られる。

妹の胸の柔らかさが、肘に伝わる。

結び終わると、妹は、僕の肩に頭を寄り掛からせた。

僕は、

「もう始まってるの?」

と聞くと、

「まだよ!私、何もされないうちに痴漢に自分から寄りかかったりしないから…。今はね!お兄ちゃんに暫く会わなかったからこうしてるの!お兄ちゃんも、そうよね?そうよね!」

と、妹は、僕に体を押し付け、寄り掛かる。

その時、一瞬安田の笑顔が脳裏を過ぎった。安田の、純粋な気持ちを裏切る訳にはいかない…。高嶺の花である安田が、僕のことを好きだと言ってくれているのに。こんなに幸せなことはないのに…。

僕は、自分自身、悪い人間ではないと思う。正義感も強いと思う。安田のことも本気で好きだ!

でも…。

妹は、僕を見上げると、僕の目を見つめ、目を閉じた。

僕には、妹の頰を触りながら唇にキスをする選択肢しかなかった。それしかなかった。

こんなにかわいい妹だったのか!僕は、妹に、妹以上の感情があることに初めて気付いた。

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