兄と妹~本能のおもむくままに~
第6章 それぞれの愛
一方、美穂は頃合いを見計らうべく
非常階段で身を隠していた。
伸二が実行に取りかかる頃に
こっそり家に戻って物陰から
一部始終をスマホ動画に収めるつもりだった。
そうとも知らずに明美は
甲斐甲斐しく伸二の接待をしていた。
「こんなものしかなくて…」と
クッキーとジュースをテーブルに並べた。
気まずい空気が流れる。
先に言葉を発したのは明美だった。
「伸二くん…だっけ?」
「はい。伸二と言います」
緊張した返答に明美は胸がキュンとなった。
「伸二くんはさあ…
昨日、美穂ちゃんとヤったのが
…初めてだった?」
明美は伸二との接点がなく、
話題が思い付かなかったので
つい、余計なお世話とは思いながらも
そんなことを口走ってしまった。
「はい。昨日が初めてでした」
緊張している伸二はバカ正直に白状した。
「で…?どうだった?」
明美は心拍数が上昇しているのを感じた。
これ以上は聞いてはならないのに
何故か聞きたくて仕方なかった。
「ねえねえ、もっと詳しく教えてよ」
明美は対面の席を立って伸二の隣に腰掛けた。
女というものに免疫のない伸二は
隣に明美が座っただけで赤面した。
『うふっ、この子、可愛いわ』
明美は密着するように
ピッタリと体を密着させた。
微かに体をずらそうとする伸二の手を
すかさず握りしめた。