兄と妹~本能のおもむくままに~
第1章 兄夫婦
翌日の朝、起き出してキッチンに行くと
兄の啓司は早朝出勤だったようで
すでにその姿はなかった。
「美穂ちゃん、おはよう。
早くしないと学校に遅刻するわよ」
さあ、早く食べなさいとばかりに
義姉の明美が
洗い物をしながら首をクイっと振って
テーブルに着席してトーストを食べなさいとジェスチャーした。
美穂はトーストを手に取って驚いた。
すっかり冷めていたからである。
「あら、冷めちゃった?
ごめんなさいね~、
私たちと同じように起き出してくれたら
温かいトーストを食べれたんだけどね」
これじゃあ継母ならぬ義姉のいびりだわと
マーガリンを冷めたトーストに
ワックスのように塗りまくって
無理やり口の中へ放り込んだ。
その日は最悪だった。
通学のために電車に乗り込んだものの
夜更かしが祟って
つり革を握りしめたまま睡魔に陥った。
意識が虚ろになりかけたころ、
お尻に違和感を感じた。
痴漢の手が美穂のヒップを撫で回し始めた。
いつもならそんな不埒な手を避けるために
体をずらして、いやらしい手から逃げるのだが
今朝はもうどうでもいいやと
痴漢のやりたい放題に体を委ねた。