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カクテル好きの女たち

第3章 男運のない女


『また既読スルーだわ…』

スマホ画面を見つめながら
幸子はため息をついた。


幸子と書いてそのまま『さちこ』と読む。

皮肉だわ、全然幸せじゃないものと
幸子は冷めたコーヒーを
一気に喉に流し込んだ。


私は38歳の女。

もちろん未婚です。

決して器量は悪くないと思うのですが
どういうわけか男運には見放されます。

付き合って何度か体を重ねると、
どういうわけかその男たちには
不運が訪れます。


世間では私のような女は
『さげまん』と呼ぶらしい。

今、付き合っている男も
私の前から
フェードアウトを決め込んだようだ。


「何よ!私を捨てるのなら
綺麗な別れ方をしなさいよ!」

ついつい小言が口から出てしまいました。


「何々?どうしたのよ」

そんな私の小言が耳に入ったのか、
同僚の三奈子が
体を擦るように隣に座りました。


「また男にフラれたの?
そんな愚痴は
会社の休憩室で言うもんじゃないわよ」

ハッとして周りを見渡すと
興味津々といった顔で
皆が私を見ていました。


「そんなときはね、
お酒でも飲んで忘れちゃいなさい」

そう言って彼女は面白いお店があるからと
一枚の名刺を渡してくれた。


「barあなたのグッドバー
バーテンダー 太田秀一」

面白いお店?

何か余興でもしてくれるのかしら?

そんなに興味もなかったのですが、
彼女の言うように
お酒でも飲んで忘れてしまおうと
私はお店を訪ねて見ることにしました。

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