もう推しとは言えない *番外編更新中
第21章 番外編 最後の○○
先生の車に乗る…と、スッキリした爽やかな良い匂いがする。
香水…かな?
「…椎名さん。あの、プリザーブドフラワーは…他の人には見せないでくださいね。
恥ずかしいので…あなただけで良いです、あれを見るのは。」
「はい。」
「椎名さんの家まで…軽く案内してください。」
そう言いながら、シートベルトをつけた先生はハンドルを握る。
私も…シートベルトはつけて…、いつも通っている帰り道とは違う、遠回りな方のルートを説明した。
…先生のそばに、もっといたいから…。
「椎名さんの、ファーストキス…もしかして、私が奪っちゃいました?」
「っえ…!?」
そんな話、掘り返されるとは思わなくて、声が裏返ってしまった。
ファーストキス…。
「…そうです。でも、私は…澤畠先生とのキスがファーストキスで良かったです…」
「…都合が悪くなったら、カウントしなくて良いですよ?まぁ、別にどっちでも良いですが…。」
「先生は…忘れて欲しいですか…?」
そうだったらショック…。
澤畠先生は…チラリと私を見て、いや…と小さく否定した。
そのあとは少し沈黙が流れて、あっという間に私の家に着いてしまった。