もう推しとは言えない *番外編更新中
第22章 番外編 あなたと繋がる夜
あ、意外と結構ちゃんと見てたんだ…。
なんか恥ずかしいかも。
「えっと、一番最初の3小節目…あ、そうですね…。指番号、変えた方が良いですかね…。」
「どう弾いてるんですか?」
「えっと…、」
いつも完全に流れで弾いてるから…唐突に特定の音を指定されると、困る。
爆速で三小節目のところまで来て、問題の和音だけ残した。
「あぁ…この和音だったら、そうですね…少し失礼しますぞ?」
先生の手が、私の手に重なる…。
ドキドキしすぎて、弾くことに集中出来ない…。
先生が、私の指を動かして…弾きやすいように変えてくれた。
「あ…これだったら、弾きやすそうですね…ありがとうございます。」
「いえ。少し気になってしまったので…そこだけ何か、ちょっと遅れて入ってるように見えたので。
最初からやってみてください。」
「はい。」
こうしてると、普通にピアノレッスンみたい。
というか、澤畠先生、数学だけじゃなくてピアノも上手に教えることが出来るって何事?
本当に同じ人間なのかな…。
そんなことを思いながらも、指を意識しながら最初から弾いてみる。
「…そうですな、そっちの方が聞いててしっくりきます。」