もう推しとは言えない *番外編更新中
第22章 番外編 あなたと繋がる夜
「…このピアノ、結構鍵盤重いですね。」
「そうですか?」
「はい。慣れれば感じないでしょうけど。」
重いと言いながらも、澤畠先生、かなり楽しそうに弾いてたけどなぁ。
「私も、軽く基礎練して良いですか?」
「どうぞ。あ、ちょっと椅子の高さ下げますか?私、さっき上げちゃったので。」
そういえば上げてたかも…。
とりあえず、座ってから…ペダルに足をのせてみる。
特に問題はない…かな?
「大丈夫です。確かにいつもより少し高いですけど、届くので。」
「弾きにくかったら言ってくださいね。」
「はい。」
先生、優しい…。
そう感じながら、いつものような基礎の練習を始める。
澤畠先生に見られるのは緊張だけど、一度弾き始めれば存外すぐに集中出来た。
でも、少し固かったかも…動きが。
早いリズムに対応しきれていない部分が出てしまったから。
それでも、一通りルーティンみたいな感じでやり終えて…澤畠先生の方を見る。
「…終わりました?」
「はい。結構時間かけちゃってすみません。」
「大丈夫ですよ。…あの、一番最初の曲の三小節目の和音なんですけど…少し弾きにくそうですよね。」