白い飛沫(しぶき) ~初恋物語~
第9章 理恵との別れ
「転校のこと黙っていてごめんなさい。
先生からお別れ会をして
ちゃんとさよならをしてはどうですかと
何度もおっしゃっていただいたのですが・・・
どうしてもお別れとか
さよならという言葉を言いたくなかったので
今まで黙っていました。
本当はアメリカなんて
遠いところへ行きたくありません。
でも、でも・・・」
理恵ちゃんは涙をポロポロこぼしながら
話を続けた。
「・・この学校が大好きです。
このクラスが大好きです。
そしてなにより・・・
順也くん・・・大好きです・・・
みなさん、短い期間でしたが
ほんとうにお世話になりました。
・・・・行ってきます」
先生がもういいですか?と
理恵ちゃんに問いかける。
理恵ちゃんは「はい」と答えると
先生と僕たちに、
いや、僕に頭を下げた・・・
吉岡先生は
「元気でがんばってもらうという気持ちをこめて、川原さんに拍手を送りましょう」と言った。
みんなの拍手を浴びて
理恵ちゃんは教室をでていった。
僕は人目をはばからず泣いた。
涙が頬を流れ落ちて
机のうえに水溜りをつくった。
かっこ悪いとかそんなの関係なかった。
・・・・・そして、僕の初恋は終わった。