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雨の降る夜は傍にいて…

第1章 台風の夜

 10 オリーブの実

「ほお、いきなりオリーブを囓る方は初めて見た…」
 私は思わず、そう声を掛けてしまったのだ。

「オリーブが好きなの…」
 すると彼女は、そんな私の突然の声掛けにも臆せずに、こちらを見ながらそう囁いてきたのである。

「なるほど…オリーブがねぇ…」
 そう呟くと、彼女はコクリと頷いた。

「ああ、凄い雨…」
 そして彼女は、大雨が横殴りに叩きつけてくるその窓を見てそう呟いたのだ。

「そうですね…凄い大雨だ…」
 私はそう応えた。
 すると彼女が私を見てくるのだ。

 ああ、やっぱりいい女だ…


「何か、私に奢らせて下さい…」
 私は思わず、空になった彼女ののカクテルグラスを見てそう云った。

 すると彼女が私を一瞬、一瞥してきた感じがあった…





 

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