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　7　送り狼…

「どうもありがとうございました…
　本当にご迷惑をお掛けしちゃってすいませんでした…」
　わたしはあのスポーツバーのオーナーの大塚浩二に、アパートの前までクルマで送ってもらった。

「うん、大丈夫だよ…」

「本当なら、お茶でもって感じなんですが…」
　時刻は深夜の午前３時過ぎである。

「いや、女性一人のアパートに…なんて、送り狼になっちゃうから…」
　そう彼が云ったのだ。

「………」
　その冗談めかした言葉に一瞬、ドキッとしてしまう。

　ドキドキドキドキ…

　急に緊張感が増してきた。
　ドキドキとした鼓動が聞こえてしまうかの様な昂ぶりがしてきたのだ。

「……お、送り狼になっても…いい…のに…」

　わたしの無意識の言葉であった…

「あっ…」
　その瞬間である、彼がわたしを抱き寄せて、キスをしてきたのだ。

　ああ…

　久しぶりのキスであった。
　そのキスの、唇の感触に心が震え、蕩けてしまう。

「…………」

　ああ…

　彼の舌が入ってきて、そして熱い想いを流し込んでくる。

　全身の力が抜けていく…

　ピチャピチャ…
　
　舌を貪り合う音がクルマの車内に響いていた。

　ああ…

「じ、実は、ゆり先生に…」
　キスをしながら囁いてくる。

　ゆり先生に一目惚れしちゃって…
　と、彼は間違いなく、そう囁いてきたのだ。

　ああ…

　心が震えてしまう。

　一目惚れ…

　わたしと同じだ…

　そして彼はキスをしながら肩を抱き締めてきた。

　ああ、抱かれたい…

「………いて…」

「……抱いて…」
　また無意識に言葉が出てしまう。

　ああ、わたし、どうしたのかしら…

　こんなこと言うなんて…

「ああ、お願い、抱いて…」


　もう一度、言葉に出して囁いた…