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雨の降る夜は傍にいて…

第5章 秋冷え…

 29 『不倫』という宿命

 だから、今夜、そんな開き直りからもたらされる強い快感が、瞬く間に二度目の絶頂感を迎えるスパイスとなっていたのだ。

「ああっ、ま、また、やっ、イッ、っくうぅぅぅ…」
 わたしは快感の叫びを上げて、二度目の絶頂感に堕ちていった。

 そしてこれは不倫中毒へと堕ちていく、初めての夜の絶頂感であるといえた…

「はぁ、はぁ、ふうぅ…」
 わたしは激しく息を荒げ、仰向けで絶頂感に浸っていた。

「なんか今夜のゆりはすごく敏感だな」
 そんな喘いでいるわたしを見て浩司が呟いてきた。

「はあぁ、うん、なんかすごく感じるの…
 開き直ったからかしら…」
 わたしはこの胸の想いを正直に云ったのだ。

「……開き直った、いや、開き直れたのか…」
 
「うん…
 だって、浩司、貴男を愛してしまったから…
 もうこれから、貴男無しではいられないと判ったから…」
 そう伝えた。

「そうか…
 俺だってゆりを愛している…
 色々遊んできたが、こんな気持ちは初めてなんだ…」
 そう彼は囁きながら、わたしを抱き締め、唇を寄せてきたのだ。

「俺だって、ゆり無しではいられない…」
 そしてそう言いながら口吻をしてくる。

 ああ、こうじ…
 わたしは彼の唇を受けながら、心を震わせる。

 ああ、浩司、わたしはもう離れない…

 そしてこの『不倫』という心の罪悪感には負けない…

 だって…

 だって…

 浩司を愛したのは奥様がいる、結婚している、娘がいる、そんな男だから…

 だって、わたしは、そんな男が好きなのだから…

 そんな男に心惹かれる、魅かれる恋愛観を持っているのだから…

 そう、この『不倫』は、わたしの恋愛の宿命なのだ…

 そしてこの『不倫』に燃えてしまうのだから…






 

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