テキストサイズ

雨の降る夜は傍にいて…

第6章  小夜時雨(さよしぐれ)…

 33 別れの夜 ⑩

 生理が終わる、来週まで…

 来週まで、別れるのを…

 一時、止めよう…
 と、生理が突然きてしまって、やや慌ててしまい、必死に色々考えての閃いた答えがこんな子供じみた想いでなのである。

『だから…生理が…終わる…来…あ…』
 そして、その閃きを話し始めると、浩司はその言葉を途中で遮るように、まるで口を塞ぐかのように強引なキスをしてきたのだ。

「…あ…う、んん……」

 そして唇を離し、わたしを見つめてきた。

 あ…

 そんな彼の目には哀しい色が浮かんでいた。

「………こ、浩司…」

「…来週って……さ…」
 ポツリと呟いてくる。

「うん…」

「来週は…もう……」

「うん…」
 胸が騒ついてくる。

「来週は…もう、新チームがスタートしてんじゃん…」

「うん…」

 だって…

 だって…

「それじゃ…意味ないじゃん……」

 来週に伸ばしたら、当然、不倫の危険なリスクは高まっていく。
 
 新チームのスタートは、つまりは彼の娘の正式な参加のスタートをも意味するのだ。
 そして、つまりそれこそが最大の危険なリスクであり、正にその為に別れを決めたのである。

「……………」

 だって…

 だって…

 だって、別れたくないんだもん…

「ゆりの気持ちは判るけど…」

 伸ばしたら意味がないのも十分わかってはいるけれど…

「だって…」

「だって…」

「別れたくないんだもん…ひ、ひん…」
 わたしは嗚咽する。

 するとそっと彼がわたしの肩を抱いてきたのだ。
 そしてその彼の優しさの動きに、その想いに、心が揺れ、震え、更に号泣し、激しく嗚咽をしていく。

 涙が止まらない…

 やっぱり…

 やはり…

 別れたくない…

「ひ、ひん…うっ…え、ええ……ん…」






ストーリーメニュー

TOPTOPへ