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雨の降る夜は傍にいて…

第2章 春雷

 33 自問自答

「さ、どうぞ…」

 わたしは啓ちゃんを自分のクルマに乗せて、高校から約20分の距離の2DKのマンションに連れてきた。
 実家暮らしであったのだが、この高校に勤めるタイミングでこのマンションを借りたのだ。

「まだ越してきたばかりだから…」
 部屋の隅々に、未開封の荷物のダンボールをまだ置いてあった。

「啓ちゃん、シャワー浴びちゃいなよ…」 
 わたしはそう言う。

「あ、はい…」
 啓ちゃんには、多分、予想だにしなかったこの展開なのであろう。
 体育館の管理室の様な勢いはすっかり影を潜めてしまっていた。

 ゴロゴロゴロゴロ…

 まだ、戻ってきた春雷の雷鳴と稲光が時折、光り、轟いていたのだ。
 そして強い雨が降ったり、止んだりを繰り返していた。

 そしてわたしは慌ててベッドメイクをし、荷物のダンボールからできるだけ大きなTシャツを探す。

 あっ…

 すると、大学時代の元彼のTシャツが出てきたのである。

 なんで…

 なぜに、こんなTシャツがあるのかが不思議なのだが、とりあえず啓ちゃんでも着れるはずだ。

 そして今更ながら自分のこの欲情の昂ぶりの想い、そしてこの行動に、ドキドキとしてきたのである。

 確かに、ただしと錯覚をしてしまった…

 だが、仮にもわたしは教師なのだ…

 そして啓ちゃんは教え子である…

 こんなこと…

 ドキドキ、ドキドキ…

 だが、心に浮かぶ想いがあったのだ。

 それを、今、いや、今夜、わたしはしようとしている…

 だが、いいのか、ゆり…

 わたしは自問自答をする。
 
 いいのか…

 ガチャ…

 するとシャワールームのドアの音がした。

「あ、これ、着て…」

「あ、は、はい…」
 啓ちゃんはすっかり、さっきの勢いは無くなっていた。
 だが、わたしは見逃さなかったのだ。

 しっかりと啓ちゃんの股間が、バスタオルを通して盛り上がっていることを…

 あっ、あんなに…




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