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スミカ

第1章 105号室

俺はセールス女を無視する。
そもそも、こいつが来てからおかしなことばかりあった。


「大変でしたね、まさか隣の住人が自殺するなんて思わないですよね~」


俺はカチンとした。


「もうそういうの、やめろよ!」


怒鳴るとセールス女は目を丸くしたが、すぐにニヤリと笑った。


「じゃあもう言いません。でもね、最後にひとつ忠告しておきたいことが…」

「うぜえな! 警察呼ぶぞ!!」

「…わかりました」


セールス女は顔の表情を崩さずに、俺から離れて行った。


「くれぐれも、お気をつけて」


最後にそう言い残して。



それから一ヶ月経った。
今となれば、あの時セールス女からの忠告を聞いておけば良かったのかもしれない。


夜な夜な赤いハイヒールを履いて走り回る真理は、明らかに何かに取り憑かれていた。




(完)


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