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スミカ

第1章 105号室

「……」


スッと一瞬、なにかが横切った…ような気がした。


俺は瞼を瞬きし、小窓をもう一度見た。
何もいる気配はしない。


俺はなんとなく小窓を開けるのをやめた。
よく考えたら、さっきの影…左から右に行ったんだ。
このマンションはひとつの階に4部屋しかない。つまり俺の部屋は一番奥のはしっこで、行き止まりなわけ。


もし人が通ったのなら、部屋を間違えたにしろ引き返さなければいけない。
でもその影はそれっきりだ。
そして足音もしなかった。


まさか…幽霊?
想像したくもないことを、脳が勝手に妄想していく。


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