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恋人は社長令嬢

第5章 我慢するのはお互い様

オフィスに戻った瞬は、魂が抜けたように、うなだれている。

「どうしたの?瞬は。」

那々香が至に聞いた。

「彼女に、一人で頑張ってみるって、言われたんだとさ。」

「きゃはははっ!自業自得ね。」

「松森~!おまえも、同じ目に遭わせてやる!」

瞬が、恨めしそうな目で、那々香を見る。

「おあいにく様。私は、そんな人と付き合わないも~ん。」

那々香は、余裕で返事をした。


そんな那々香は、久しぶりにウキウキしていた。

会社では、極力会わないようにしていた亮介から、珍しくメールで呼び出しがあったのだ。

場所は、屋上に通じる中央階段。

滅多に人が、昇ってこない場所だった。

周りをさりげなく確認しながら、那々香は上へと上へと昇っていく。

一番上の踊り場には、既に亮介が来ていた。

「亮介さん!!」

いつもは課長と呼ぶのに、嬉しくて名前で呼んでしまった。

「ごめん。急に呼びだしたりして。」

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