恋人は社長令嬢
第4章 蝶よ花よと育てたつもりが
「デキる男は、時間ぴったりに、終わらせるわね。」
「……はい。」
京香との予定は、会社の仕事よりも大事なのだ。
「ギャ~、遅刻!!」
慌ただしく起きてきたのは、ご存じ梨々香。
「おはよう。パパ、ママ、那々埜々姉!」
「ちょっと、私と埜々香の名前、混ぜないでよ。」
「言いにくいんだもん。」
梨々香は席に着くと、すぐにトーストに、かじり付いた。
「あら?梨々香ちゃん、蚊に刺されたの?」
埜々香が、不思議そうに聞く。
「ほえ?どこ?」
「ほら、首に…」
その瞬間、梨々香は赤い顔をしながら、首を手で押さえた。
「あ、ありがとう。埜々姉…」
「うん?」
その様子を見ていた那々香が、笑うのをこらえている。
「バカねえ、埜々香。今の季節に、蚊がいるわけないじゃない。」
「ああ…そうか…」
「止めてよ、那々姉。」
「あの子の首にあるのは、キスマークよ。」
「キス?マーク?」
埜々香の頭の上に????