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恋人は社長令嬢

第4章 蝶よ花よと育てたつもりが

「松森君、君はどうしたい?」

亮介が、静かに言った。

「課長……」

「君の所属は、まだここだ。断りたいのなら、まだ断われる。」

「えっ!?」

驚いたのは、瞬も至も一緒だった。

「どうするかは、君が決める事だ。」

那々香は、少しの沈黙の後、口を開いた。

「私は……ここに残りたいです。ここでの仕事が好きなんです。」

「松森……」

営業の仕事は、男性相手でも、つらい時があるのに……

瞬は、いつも愚痴を言わずに仕事をする、那々香の姿を、思いだした。


「分かった。」

亮介はそれだけを言うと、また応接室へと戻って行く。

「課長?」

嫌な予感がして、那々香は亮介を呼び止めた。

「心配するな。」

亮介は、にっこり笑っていた。

「もしかして那々香の代わりに、大村課長が断ってくれるのか?」

至が言った。

「もしそうだとしたら、課長、どうなるんだよ。」

瞬が心配そうに呟く。

「課長が、私の代わりに?」

那々香の身体は、小刻みに震えた。

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