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恋人は社長令嬢

第4章 蝶よ花よと育てたつもりが

亮介が応接室へ入って行くと、那々香はその傍まで、近づいた。

中からは社長の声と、亮介の声が聞こえてくる。

「大村君、優秀な部下を失う君の気持ちは、分からないでもない。だが、これはある意味、松森君の為でもあるんだよ。」

「それは、どういう意味でしょうか。」

「松森君程優秀な人材なら、秘書課の方が、昇格もあり得るということだよ。」

亮介は、手を握った。

「適材適所だという事は、理解できます。ですが、それよりも自分が”どんな仕事をしたいのか”という方が大切だと思います。」

「大村君。」

「松森君は、営業としても成績を残してきました。この仕事でも、十分に昇格する可能性はあると思います。」


春樹は、ジロッと亮介を見た。

「大村君と言ったね。」

「はい。」

「先程、部長から話を聞いていたんだが、君は課長になってから、目立った成績を残してないそうじゃないか。」

「申し訳ありません……」

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